硬膜下血腫とは
脳を保護する硬膜の下に出血した血液が溜まり、時間の経過によって溜まった血液がゼリー状に固まって血腫(脳の塊)になること。ゼリー状に固まった血腫ができると脳が圧迫され「頭痛」や「嘔吐」といった症状があらわれたりします。
硬膜下血腫は「急性硬膜下血腫」と「慢性硬膜下血腫」の2通りあります。
基本急性も慢性も治療方法は原則「手術」が行われますが、血腫が少量で症状も軽度の場合は脳に自然吸収されることも多いため、経過観察で様子をみることが多いです。
しかし、多くの治療方法としては「局所麻酔」による手術によって血腫を取り除く手術が行われます。慢性硬膜下血腫の場合、入院期間は手術後、おおよそ1週間から2週間のうちに退院することが可能です。急性硬膜下血腫の場合、入院期間は重症度によります。数日で退院できる場合もあれば、数年かかることもあります。特に重症であった場合は、後遺症が残ったり寝たきりになることも少なくありません。
硬膜下血腫の原因
硬膜下血腫の主な原因は、交通事故や高所からの転落による負傷のほか、暴力などで殴られたことによる負傷によるものがあげられます。発症する年齢層は高齢者に多くみられますが、近年では虐待による子どもの発症例も見受けられます。また、若年者の発症原因では、激しい衝突があるスポーツによるものも多いです。
急性硬膜下血腫では、脳への衝撃による損傷が激しいということで、「意識障害」を引き起こすことが多いとされます。脳への損傷が少ない状態で急性硬膜下血腫を発症した場合については、血腫が増えていくにつれて次第に意識障害があらわれてくるといわれています。
しかし、慢性硬膜下血腫は頭を軽くぶつけた後、しばらくたってから脳の表面に血液が溜まる病気とされています。脳の表面に溜まる血液は、ゼリー状のようなどろどろとした状態です。
慢性は高齢者に多くみられる病気で、頭のけがをしたときは症状がなく、またけがの程度も軽い特徴があります。机の角や鴨居に頭をぶつけた、道路で滑って転んだというような軽いけがが多いのですが、時に慢性硬膜下血腫の原因を見つけ出せない時もあります。
硬膜下血腫の症状
硬膜下血腫の主な症状は激しい「頭痛」や「吐き気」ですが、急性硬膜下血腫は突発的な強い外傷で起こる病気のため、脳への損傷も強く「意識障害」を起すこともあります。また、血腫が徐々に大きくなり脳へ圧迫が起きると脳ヘルニアを引き起こすことによって生命維持中枢である脳幹までもが侵され、最悪の場合は死に至ることもあります。
慢性硬膜下血腫の症状は徐々に出てくるので判りにくい場合が多く、また、発生個所によって症状はさまざまです。頭部前方に血腫ができると物忘れが出てきたリ意欲が減退してきたりと「精神障害」として症状が出てきます。また、血腫が頭頂部周辺に発生すると何もないところでつまずいたり手が上がりにくかったりと「運動障害」があらわれます。後頭部周辺では、視覚や聴覚に障害が起きる「感覚障害」です。
硬膜下血腫の検査・診断
硬膜下血腫の検査・診断は主にCT検査やMRI検査を用いった画像診断を行います。頭蓋骨の下にできた血腫はCT検査やMRI検査では白く映し出されます。
脳の画像は年齢が増すにつれ、しわが深く現れますが硬膜下血腫を発症するとそのしわさへも映し出されなくなるとされています。
硬膜下血腫の手術
硬膜下血腫の治療は「手術」が基本となります。硬膜の下に溜まった血液は、ゼリー状のようなどろどろした血液のため、局所麻酔で頭蓋骨に開き小さな穴から血腫を取り除く治療を行います。
方法として、チューブを血液の溜まっている硬膜と脳の表面に挿入し、血液を抜きます。しかし、抜き終わったらチューブを抜くわけではなく、そのまま管を脳に留置させ残った血液を暫くのあいだ流す処置が、病棟で行われます。たいていの場合、一回の手術で血液は取り除くことができますが、場合によっては数回の手術が必要な時もあり、完治が見込めない場合に全身麻酔の手術が必要となることもあります。
穿頭血腫洗浄術は血腫被膜を残したままですが,血腫除去による減圧と血腫を洗浄除去する手術です。
慢性硬膜下血腫で神経症状がみられた場合は、穿頭ドレナージ術にて血腫を除去する手術が行われます。ドレーンという体内に溜まった水分や血液を出すための管を使って、血腫を排液して行きます。
http://doctor-college.com/symptom/detail/246#blogTitle_0より